電子マネー・仮想通貨(暗号通貨)の分類について

 2018年は「仮想通貨元年」と言われ、億リ人なんて話題でも賑わっていましたが、年が明けて、仮想通過の相場は急落。

1月18日現在では、本格的なリバウンドも回復もなく、目も当てられない状況です。

 

シンガポール中央銀行の長官が

「仮想通貨技術、暴落による弱体化望まず=シンガポール中銀長官」

https://jp.reuters.com/article/singapore-cenbank-cryptocurrency-idJPKBN1F4097

なんて発言していましたが、正にそのとおり。

 

ブロックチェーンビットコイン、ではないし

ブロックチェーン=投機的なもの、でもありません。

 

ドイツやフランスが国際的な規制を提案する方向のようですが、 建設的な議論・規制になることを願ってやみません。

 

さて、前置きが長くなりましたが、今日は「仮想通貨(暗号通貨)」や「電子マネー」にはどういうものがあって、そのなかで、今話題の「仮想通貨」はどう分類されるの?といったことをお話ししてみようと思います。

 

下図は国立国会図書館の資料(※1)からの引用ですが、主に「個人間(P to P)」の電子的な決済手段を機能的な側面から分類すると、

 1. 汎用性

 2. 転々流通性

 3. 管理方法

の有無や種類によって区分することができると言われています。(例えばSuicaやオンラインゲームの価値など身近なものを当てはめてみてください)

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この分類によると、巷で話題の「仮想通貨」と言われるものは、「汎用性、転々流通性があるもの」と、ざっくり分類できますね。

「分散型仮想通貨」つまり「分散台帳(DLT)」による管理なんていうキーワードも見えてきますね。

 

こうやって、技術的・機能的な観点から整理すると、なんとなく決済手段に用いられるものを、頭の中で整理できますね。

 

「汎用性、転々流通性があるもの」という定義を更にブレイクダウンすると、

① 価値の尺度

② 交換手段

③ 価値の保蔵手段

として用いることができる、とでも定義できそうです。

 

つまり、同じDLTの技術を用いて安全性の高い仕組みを作ったとしても、

価値が安定していないものは、①③の観点から「通貨」といえず、

街のお店やインターバンクの決済で使うことができなくても②の観点から「通貨」とは言えません。

 

今の仮想通貨について言えば、日本でもビックカメラやメルカリで導入されるようになって、②については改善の兆しがまったくないわけではないのですが、少なくとも①と③の機能は決定的に欠落しています。

  

ビットコインイーサリアムなど主要コイン以外にも、現在、世界には1500種類もの仮想通貨が存在し投機の対象となっていますが、

・そもそも通貨と言えるのか?

・将来的に通貨と呼べる銘柄があるのか?

というと、いずれも現時点では「通貨」というワードで「それらしさ」を演出している投機対象に過ぎないのでしょうか。

 

仮想通貨の先駆けは、 1995年にイギリスのナショナルウエストミンスター銀行が実験した「モンデックス(※2)」だったと言われていますが、

少なくとも、1995年のモンデックスの方が先進的・理性的な取り組みだったような気がしてなりません。 

 

いずれにしても、今は通貨・決済手段の過渡期にあるのかもしれません。

大きな混乱なく、便利な世の中になれば良いですね。

 

次回は、「仮想通貨の将来性」について、書いていこうと思います。

 

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※1 http://www.nii.ac.jp/about/upload/all_NIIToday69.pdf

※2 モンデックスは、1995年にイギリスのスウィンドン市(人口 17 万人) で、一般消費者 4 万人、店舗約 1000 店が参加する大規模な実証実験が行われました。当時は技術的・法律的問題があったこともあり、取扱銀行が広がらず実用化には至りませんでした。

日立評論「電子マネーシステム モンデックスの新展開」

http://www.hitachihyoron.com/jp/pdf/1997/05/1997_05_06.pdf